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将来の夢

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散歩に出ると、下校途中の小学生たちに遭遇した。
町の子たちは体操着で通学している。
ちょっと前までは、白の半袖にグリーンの短パン。今は上下グリーンのジャージ姿だ。

年下の子たちを引率するように歩いて来る子、三〜四人でお喋りしながら歩くグループ、一人でぷらぷら歩いている子と、帰りの様子はさまざま。

二人組みの男の子が、子供特有の勢いで陸橋の坂を駆け上がってきた。
三、四年生くらいだろうか。
走りながら、一人の子が声を張り上げて叫んだ。
「お前さぁ、将来の夢って何ぃ?」
唐突な質問。

叫びの質問で、男の子二人の走りっこが歩きに変わり、わたしはすれ違ってしまう前に「将来の夢」の答えが聞きたくて、二人の様子に注目した。
質問された子の目が泳いじゃってる。
「それは、どこ?」って感じ。焦点が合わない顔で山のほうを眺めてみたり。

その子は「将来」という言葉も、「夢」という言葉も知っているはず。ただ、二つの単語を合わせた「将来の夢」といういきなりの質問に、思考回路を探そうとするも、頭の中は砂嵐に見舞われてしまったのだろう。

思考迷子になってる子を相手に、質問したほうの子がまた叫んだ。
「オレはねぇ、出世!」
「出世、出世!出世だよー!」

出世かあ。
そう来るとは想像もしてなかったが、すれ違いざまに答えが分かってよかった。
訊かれたほうの子も、じつは自分が答えを求められていたのではなかったのを察して安堵の表情。口元が緩み、うっすら笑みを浮かべていた。

大人の会話に「出世」という言葉が出てきたのだろう。
「ねえ、出世って何?」
「出世ってのは、偉くなることだよ」
「ふ〜ん」
「お前も将来、出世しろよ」
親戚のおじさんが言ったのだろうか。

そうして目が泳いじゃった子は、ウチに帰ると訊くんだよ。
「じいちゃん、出世って何?」
「ん? 出世ってのは……、偉くなることだ」
そして、“出世”を知らなさそうな子に訊くんだよ。
「お前さ、将来の夢って何?」
「……」
「おれ、出世」

こうして“出世”という言葉が広まっていくのかな、と想像する散歩道。
しかし、出世というのもすでに古い概念に思える。
今の子どもらが大人になったら、聞かない言葉になっていそうな気がするのだ。

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