祭りの記憶

東京は下町、入谷の生まれ。
といっても、幼稚園にあがる前の年には入谷を離れてしまったので、入谷っ子だったのは四歳半くらいまで。なのに、ほんの数年の、幼い頃の記憶の欠片は、すごく鮮やかに残っている。その後の何十年もの中でのエピソードが色あせちまうくらい。
とくにお祭りの記憶は、浴衣姿で山車を引いたり乗せてもらったり、そんな思い出が下町を離れてからなかったから余計に、忘れずにいるのかもしれない。

先週からときおり耳をかすめるお囃子の音色。
靖国通り沿いに設置される山車と神輿置き場では、町内会の人たちが祭りの準備をしている。その様子が何となく羨ましい、山王祭(さんのうまつり)の季節。

金曜の夕方は、事務所の前を山車と神輿が通過。

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いいな、いいな、と祭りの姿衆を見送った。

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事務所がある町内会の神輿が神社に到着するのは夕刻7時頃。と聞き、いそいそ向かった日枝神社。
到着、6:59。

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・~・~・ < 🌎 祭りの夕べ > ・~・~・

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石段の上は人でいっぱい。神門をくぐり社殿へと進む神輿を、各町の氏子衆が迎える。

土曜のゆるりとした都心のビルの谷間で、ここだけが、夕闇が降りる寸前の空に熱を放つ。
いいな、いいな。

祭りの空気を味わって、「いいな、いいな」はよそ者の気持ち。
すっかり陽が暮れた帰り道は、祭りの熱気に触れた嬉しさと、微妙な寂しさが入り混じる。

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一夜明け、爽やかな風日和の日曜日。

靖国さんに散歩に出かけた午後の帰り道、またしてもお囃子の音とともに町内を練り歩く山車と神輿に遭遇。と、ご近所の居酒屋の大将の顔が見えた。
「おいで、おいで」
「え、いや、いいです、いいです」
口では遠慮したフリをしながら、歩道のガードレールをまたいでいる自分。

大将が羽織っていた法被を貸してくれて、山車を引く綱の列に入れてもらった。
山車と神輿置き場に向かうほんの数十メートルだが、何かもうニッコニコ。子どもの頃の祭りの記憶と繋がって、顔が、気持ちが子どもがえり。
歩道にいる人たちに見られている照れくささと、祭りにささやかながら参加できる嬉しさよ。ついでに、神輿納めにも入れてもらい、久々に神輿も担がせてもらった。

ここまでで充分だったのに、帰ろうとしたら、大将が「お菓子を持っていけ」と無理やり列に並ばされ、町内会に入ってもないのにお菓子までいただくことに。
で、帰ろうとしたら、控えめに一緒にいた「友達の分も持っていけ」と、再度、強引に列に入れられ、お菓子を手渡す係のおばさんに怪訝な目で見られてすごく気まずかった。
でも、傍にいた大将は、わたしにできる限りよくしてくれている満足感でいっぱいの様子で、親切と怪訝な視線の板ばさみになったわたしに、すべての罪が降りてきている気がした。

事務所に戻って、町内会の菓子袋を開けると、駄菓子と一緒にシャボン玉も入ってる。

人のいない路地で吹くシャボン玉。
親切にあやかった代償に受けたわたしの罪も、飛んで消えてくれと願う祭りのあと。
虹色の玉が、ビルの合間に消えていく。


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