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夜のピエロが消えた

今、私が使っている仕事場の机は、多田さんという方が居た場所。
椅子は自分用に座りやすいのを購入したが、煙草の焦げ跡が点々とある机は多田さんが使っていたもの。
と言っても、彼の私物ではないけれど。

「タダじいが4月に亡くなったって」

昨日、知り合いの編集ライターさんから訃報を知らされた。
多田正行(ただ まさゆき)氏、享年61。
UCLAのMBAを持つマーケティングの専門家で、私がお会いした2001年には、コールセンターの分野で第一人者としてコンサルティングやアドバイザーをされていた方である。
  
  
わたしも一応、経営学でマーケティングをかじってはいるのだが、多田さんの専門知識には当然ながら足元にも及ぶはずはなく、専門分野の話はした覚えもされたこともない。
それで、上下関係なく“タダじい”と呼んでいた。これは、ご本人の知らないところの仲間うちの愛称と思ってほしい。

切れ者で(金儲けは別として)アクの強い方ではあったが、私は多田さんのアクにやられたことはない。
寂しさと孤独を顔に刻んでいながら、一緒に呑んでいると優しい表情を見せる。笑うときは顔をくしゃくしゃにして、偽りなく「楽しい!」って感じだった。

そういえば一度、プライベートなことでおこがましくもアドバイスしたことがある。
「男だからって何でも背負う必要はない」
みたいなことを言ったかな。
アメリカ仕込みなのか、若輩者にも対等な口を利かせてくれる人でもあった。

知り合って間もなく、多田さんは神奈川県の三崎に住み始め、そこへは2回ほど伺ったことがある。
愛車のバイクを乗り回し、三崎の海と、新鮮な魚を食べさせてくれる居酒屋がお気に入りの様子だった。
それから暫く疎遠になり、4年前の4月か5月に久々に事務所にやって来て、ろくなツマミもないまま編集者と4人で缶ビールを開けたのが最後。その頃の多田さんは、地元の漁師さんや呑み仲間との交流で三崎暮らしが板についた証だったのか、仙人のような容貌になっていた。

多田さんの訃報を聞き、真っ先に気になったのは、

 あの一人暮らしの部屋でひとり逝ってしまったのか?

ということ。

多田さんを知るライターさんからの情報でブログが見つかった。
プロフィールと日記の履歴から、宇都宮、武蔵野、蕨と移り住み、山谷に落ち着いていた様子。
“山谷のドヤ住まい”とは聞こえがよくないかもしれないが、日々の記録を読むと、心持ち穏やかに知的に人生と向き合っている印象を受ける。

自称・バナナ人的風来坊は、3月24日に入院。 
肝臓疾患で、4月10日に逝ってしまった。

多田さんは孤独なりに素直さを表して生きていらしたようで、自虐的な救われない孤独ではなかったと思う。

で、ちょっと面白いものも見つけた。
タダじいの山谷物語の中から、「夜のピエロ」。
<以下、引用>

 人生は不死鳥だ。
 貴方は今、幸福ですか。
 貴方の夢を下さい。
 貴方の力をください。
 私の心をあげます。
 今、世の中は乱世の社会、人は何を求めてさまようか。
 腹のすいた人にどんな立派な説法をしても、
 馬の耳に念仏。
 人それぞれ悩みがある、
 原点にかえれる衣、食、住、である。
 それ故、人間本来の持つ、
 ぼんのうでいろいろの事を考える。
 最低限、衣、食、住を補充できれば、
 人は、かわるのではないか。
 乱世の世に灯を。(よるのピエロ)

多田さんが詩人であったとは!
華やかな海外生活の経験があり、大学で教鞭を執る時期もあった人のこと。伝えたい知識の疼きを覚えつつ、世の中に光を与えたい思いを抱えていたのだろう。
それは、多田さん自身の光でもあったのではないかな。
ご冥福を祈ります。

多田氏のコラム他はこちら↓
社会保険庁問題を検証する
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