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ふらりハンマースホイ

チケットをいただいて、昨日はふらり、上野の国立西洋美術館へ。「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」という何とも高尚なタイトルの展覧会。

ハンマースホイさんは、デンマークを代表する作家のお一人だそうで、建物や部屋の風景(室内画)を写真のように描かれるのがお好きな方らしく、どれもこれも静かな画風。
写真を綿密にキャンバスに描き写す手法も使っていたと、どこかに書いてあったので、写真のような絵であるのは不思議ではない。
モノトーン調の室内画には、“誰もいない部屋”と“後ろ姿の女性がモチーフ”になっている作品があり、そのモデルのほとんどは奥さん。

こんなふうに紹介してしまうと、奥さんに惚れこんだ画家のイメージにとられかねないのだけれど、単純なほのぼのした夫婦愛ではないような。
一番ぐっと惹かれたのはある肖像画。
「病人?」と思う顔色の悪さ。それは38歳の奥さんを描いた「イーダの肖像」。
実際にこの頃、イーダさんは精神を病んでいたとも言われており、誠実に病人の無防備なところを描いたのだとすれば、芸術家魂とは素晴らしくも恐ろしくもあり、一般家庭でダンナの仕事に理解がなければ、「何よ、これ!」と怒られて2~3日は口を利いてもらえないんじゃないかと。
そんなイメージを膨らませてもくれる、離れがたい作品だった。
これもどこかに書いてあったのだが、この肖像画以降、後姿は別としてイーダさんの肖像画は描かなくなったとか。怒られたからではないと思う。

肖像画を観るかぎりでは、妹のアナに対してのほうが温かみが感じられる。
ハンマースホイさんの夫婦仲をあれこれ言うつもりはないけれど、奥さんは身近でモデルに使いやすかったのが一番の理由ではないかと。
部屋の一部として、そこに住んでいる奥さんは適役とか。赤の他人のモデルを呼び入れて、家の中の気が乱れるのを好まない人だったのではないかとか、勝手な憶測で独り妄想遊びを重ねてしまった。

ハンマースホイさんのチケットで常設展にも入場できるので、ついでにそちらにもふらり。
裸で股開きな体育座りをする、ロダンの「しゃがむ うずくまる女」が、何気なく自分のおっぱいを片手でいじってる姿が無防備に卑猥で、これも惹きつけられて動きがたかった。
わたしは、無意識に無防備な姿が好きなのだ。
どんなに生意気なヤツでも、男の人のうなじは、かなり無防備。ハンマースホイさんが描く奥さんのうなじはあまり無防備ではない。そういえば若い頃の肖像画も、お兄さんが描いたイーダさんは、嬉しはにかみな笑みを浮かべているのに、夫のハンマースホイさんが描いたものは緊張気味な雰囲気。それに比べると、あの病人の印象が濃い肖像画は、かなり無防備に見えてくる。

そんなこんなで外に出たら、すっかり夜。
美術館前のライトアップが、雨に塗れた地面に映って倍にきれい。雨の日に出かけたのがかえって得した気分になって、上野公園をふらりふらり。気持ちよく歩いてきたけれど、帰ってきたら妄想に頭を使ったせいか、ひどく疲れていたよ。ハンマースホイさん、静かで複雑なお方。
20081206a

*評論する気なく勝手に思ったことを書いてますから、参考にしないでくださいね。自分の目で観るのが一番です。

ioWEB
・4年前の今日の日記 「あやつは悪魔か神か」
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