
映画「君のまなざし」のチケットをいただいたので、せっかくだからとレイトショーで観ることにした。
チケットカウンターで席を指定してもらうときに、「この辺で」と、座席の前方と後方を分断する通路を前にした列を指さすと、
「あ、その列は混んでるんです」
係のおねえさんが言うではないか。
「え! 混んでるんですか?」
映画館に向かう前から、私と友達の二人貸し切り状態なのではないかと予想していたので、ほっとしたのと驚きで思わず声を上げてしまった。
「今日はH列とI列が混んでいて、あとは空いているんですが」
「えええ!?」
前方後方を分断する通路の前と後ろの列が混んでいる。そう聞いて、すごくほっとしている自分がいた。
怖がっているつもりはなかったのに。
「Lの中央二席はいかがですか?」
勧められたのは、場内ほぼ真ん中の二席。
「じゃあ、そこにします」
指定席券をもらって、開場を待った。
上映10分前の案内とともに、私たち二人は一番に中へ。
混んでると聞いたH列とI列に、どんな人たちが来るのか楽しみでもあった。
「信者さんかなあ♪」なんて調子で、友達が持ち込みしたポップコーンをつまみながら予告作品を観る。
そうこうするうちに、「劇場マナーCM」も「NO MORE 映画泥棒」も終わり、本格的に場内が暗くなって映画が始まった。
混んでるって言ったよね?
H列とI列のお客さんは、どうした?
予感はあった。
貸し切り状態で、場内中央に招かれたのだと思った。
理由はわからん。
作品を観ながら時折、H列とI列を薄目で見てみたり、顔を反らして横目でチラ見してみたり。
「見えないけど、来てるんだよ、きっと」
そう言う友達と同じ思いで、映画のストーリーに入り込んでいった。
「トイレ~」
ポップコーンと一緒に、特大に見えるラージサイズのコーラを持ち込んだ友達が「トイレ」て……。
一人で行くのは嫌だろうしと、一緒に席を立った。
「一人で残るのも嫌でしょ?」
言われてみれば、それもそう。
結局、最後まで二人貸し切りの「君のまなざし」。
ラストのほうは、スピリチュアル的な癒しに持っていかれたようで、ハートのあたりがじわ~んとした。
0時過ぎの上映終了。
出口扉にいた係の人に、
「わたしたちだけだったんですよね?」
と訊いて、
「他のお客さまはもう出られました」
そう言われても嫌なので、訊かずに劇場をあとにした。
帰路の車の中で、
「I列が空いてるからって移らなくてよかったね」
鼻から席を移る気はなかったけれど、作品を観れば、友達の言ってることが納得できるだろう。
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