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オジーさんにiphone

一人で出歩くと、かなりの確立で声をかけられる。
道を尋ねられるのはもとより、「このバスはどこどこへ行くか?」とか、「どこどこへ行くにはこの電車でいいのか?」とか。

初めて行く不案内な場所でも、海外でも、尋ねられるのはどうしてだろう?
ウチの母親に言わせると、これは決してわたしが親切そうな“いい人”に見えるからではないそうだ。
(ふむふむ)
母親説によれば、
1.知ったかぶって歩いてるから
2.適当にブスだから(美人に声はかけにくい)
3.ボケッとして見えるから(スキを突きやすい)
なのだそうで、娘が自分で自分を“いい人”だなんて勘違いをしないよう釘をさしているとはいえ、1については「べつに」、2と3はあながち外れてないかも、くらいに納得して生きてきた。

それが最近、シンデレラの継母みたいな母親の説とは若干異なる説が浮上した。
題して、“神さまのお遣い説”。
その人曰く、私を担当している神さまのお遣いが、物陰で次々と手を変え品を変え姿を変え、尋ね人になってわたしを試しているのだと。そしてわたしの採点表には、その時々の態度対応によって、○とか▲とか、まるで×とか、書き込まれていくのだと。
「えーーーーっ、そうかも!」
母親説より“お遣い説”のほうが、わたしには納得度が高いこの頃。いずれにしても、道を尋ねられたりするのは“いい人”そうに見えるからではないのは、よーく分かっている。

さて、本日は所用で蒲田に行かねばならず、有楽町線・山手線を乗り継ぎ、新橋から京浜東北線に乗り込んだ。と、そこまでは珍しく誰に呼び止められることもなく、“神さまのお遣い”のことなどすっかり忘れていた。

「あの~、梅屋敷ってご存知ですか?」
不意に隣に座っていたおじいさんが尋ねてきた。
「梅屋敷?(花屋敷じゃなくて?)
 さあ?(桜が終わった頃に梅かい?)」
「松本清張さんの『砂の器』に出てくるでしょ!」

出てくるでしょ!って、唐突に松本清張を出されても。

「そこで殺人があって」
「そうでしたっけ?」
「一度、梅屋敷ってとこに行ってみたくて~!
 どうやって行けばいいんでしょ?」

はい? 聞いたこともない梅屋敷とやらにどうやって行けばいいか?
ものすごく難かしいことを尋ねられているのだよ、わたしは、おじいさん。

そのとき、遅ればせながら2月に手にいれたiphoneがあったのを思い出した。
バッグからマイ・アイフォンを取り出して“梅屋敷”を検索する。それで、“梅屋敷”が屋敷の名ではなく駅名であることが分かった。
「京急ですよ、京急(おじいさん!)」
「京急ですか!どうやって行けばいいんでしょ?」
おじいさんが一緒になって覗いているマイ・アイフォンの画面で、わたしはGoogleのマップを上へ下へ指をスイングして乗り換え駅を探した。だが、京浜東北線と京浜急行は付かず離れず交わる駅がない。
「品川からなら乗れたんですけどね」
電車はすでに品川を過ぎ、大井町の駅も出てしまっていた。そもそも、おじいさんが声をかけてきたのは品川を過ぎてからのこと。
「品川に戻るか、うーん、川崎まで行って乗り換えるってことも……」

わたしが不慣れな京急にどう乗り換えればいいか頭を捻っているというのに、額に汗びっしょりだというのに、おじいさんはマイ・アイフォンに釘付けになっていた。
「スゴイですねえ、スゴイですねえ、これ!」
あまりに「スゴイ、スゴイ」言ってくれるので、わたしはまたGoogleのマップを上へ下へ指でスイングさせて見せた。
「あのォ、これ、アイパッドですか?」
おじいさんの耳にも、iPadの噂が届いているとは!
「いえ、これはiPhoneです」
クールに答えたあと、わたしは極めつけに、おじいさんにもよーく見えるよう二本指でマップを拡大し、「ほら、ここが梅屋敷なんですよ」と教えてあげた。
「そんなことも! スゴイですねえ!」

電車はじき大森駅に着こうとしていた。
「とにかく、京浜急行に乗らないと」
品川に戻るのか、川崎で乗り換えるのか、おじいさん!
「いやあ、スゴイ!
 そんな長い爪で!」

大森に着くと、おじいさんは、向かいのシートにいたおばあさんに「降りよう、降りよう」言われ、連れ立って降りていった。

あのお方が例の“お遣い”だったとしたら、「爪を切れ」と言いに現れたのだろうか。
切らないと。

20100420a

ioWEB
・1年前の今日の日記 「サツキとツツジ」
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