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いろはにほへと

「いろは歌」の暗号説

七文字ごとに区切ると末尾の文字が

「とか(が)なくてしす」
(咎無くて死す=無実の罪で殺される)

「ほをつのこめ」
(本を津の小女=真実を津の妻へ)

の暗号になっているのではないか、というもの。

これを、偶然をこじつけた妄説とすることはできる。事実、そうかもしれない。

でもね、真実が真っ向から伝わり難い特性を考えると、凄まじく、願いのこもった、逆境の果ての沈着なメッセージに思えてくる。

そんな想像をすると、たとえ妄説だとしても、ちっとやそっとで「弱音なんか抱いちゃいられない」と思う昨日今日。

桜は日に日に盛りに向っています。

20100331b
 <四谷にて>

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「ブラジルは好きですか?」

午後の“さくらまつり”から帰ってきたばかりなのに、再び“さくらまつり”の靖国に。

今度はノートパソコンを持参。これならデジカメで撮った画像をすぐにパソコンに移せる。
境内の片隅に長テープルを見つけた。電源も「お使いください」と言わんばかりに、木の枝からコードが垂れ下がっているではないか。
「おお、すごい、すごい」

さっそくパソコンを置いてテーブルを陣取った。
足もとは白い小粒の石が敷き詰められている。手ですくってみると、じつはさらさらした米粒だった。で、ノートパソコンの周りを米粒で固めた。動かないようにね。
これがただの米粒じゃなくて、テーブルの上でペタペタたたくとちょうどよい粘りけを発揮するのだ。

暫し、パソコンに取り込んだ画像を確認。すると、警察官がやって来た。
「いったん閉めますので、よろしくお願いします」
「はいはい」
花見客をいったんぜんぶ外に出して、夜の部に備えるらしい。納得。

素直にパソコンを片づけていると、別な警察官がやってきた。
「今、片づけてますから」
パソコンが、なかなか終了画面にならないので焦ってしまう。

こっちが片づけに焦っているのに、その警察官がおどおどした調子で訊ねてくる。
「ブラジルは好きですか?」
「え?」
「わたし、ブラジルから来た」
言われてみれば、彼の顔つきは日本人っぽくない。
パソコンの画面がなかなか終了しないので、時間稼ぎに「へー」と関心を示してみせると、彼は行ってしまった。やれやれ。

手間取っているパソコンに向うと、今度は背中越しに訊ねられた。
「ブラジルは好きですか?」
別な警察官だ。
「わたし、ブラジルから来た」
今度のは顔つきは日本人っぽいが、警察官にしては体格がやけに貧弱でひょろっとしている。
「へー」
また時間稼ぎに関心を示してやった。

すると、ブラジルはここだとばかりにおっきな地図帳を開いてページを指差す警察官。
でも、そのページには“Africa”の文字が。
わたしはピンときた。この人が言ってる「ブラジル」は「チュニジア」のことなのだ。
昨夜観たDVD『まなざしの長さをはかって』に出てきたのもチュニジア人だった。

「キリコ」
「え?」
「キリコ」
彼は自分たちのように警察官のなりをしたアフリカのブラジルから来たチュニジア人を「キリコ」と呼ぶのだと教えてくれた。
漢字で書くと「卑魏子」。
広げたアフリカの地図の海域に、彼がボールペンで書いてくれたので、よく憶えている。

時計を見ると、時刻は6時40分。
花見客の姿はほとんどなく、靖国の参道はガランとしている。

そして、うっすら目が覚めた。

午後のワンカップとマッコリが効いて、すっかり夕寝してしまった。

 *どこから夢なのか?とご質問いただきました。
   ぜーんぶです。始めから。


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さくらまつり、だよ

昨日が初日の“さくらまつり”。
生憎の夕方からの雨で、昼間からブルーシートの席取り組は気の毒でした。出店もしけた感じ。
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雨あがって、本日二日目。
遅いお昼を兼ね、靖国目指してレッツらゴー。
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観光バスがみっちり来てます。夜桜前の出店は稼ぎ時。
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まずは、焼き鳥にワンカップ。桜を見上げてよい気分。
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3時過ぎ、できあがっちゃった若者が、足が立たず出店の前で酩酊。靴を脱がされ、靴下のまま、お仲間に引きづられて行きました。お大事に!

こちらはどんどんいきます。イカ焼きにお好み焼き、ロングフランク、仕上げはマッコリとおでん。
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きれいなお兄さんは好きですか? はい、大好きです。
〆のクレープ。
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野外ステージでは、ラディカル何とかさん。“ラディ”と気軽に声をかけていいそうです。
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“夕焼け小焼け”のチャイムが鳴った、さあ、帰ろ。

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花冷えが続きそうな桜の日々到来。

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ランボーなスイーツ

靖国の桜の様子をうかがって、帰りにお気に入りのケーキ屋さんシェ・シーマに行ったら、すでに閉まっていた。宝石のようなケーキを調達しようと思ったのに。

大して落胆することもなく近所を歩いていたら、最近ご無沙汰になっていた八百屋さんの車を発見。この八百屋のおじさんから買う野菜は、新鮮味といい、味の濃さといい、スーパーの品とは比べ物にならない。

「お久しぶり!」

声をかけられ、本日は千葉産の小粒苺を2パックいただくことに。

20100320a

で、手づくりケーキ用のスポンジでケーキをつくってみる気になった。

生まれてこのかた、ケーキなど作ったことはありません。
作ってみようと思ったことさえ、なし。
それが「やってみようじゃないか!」と思ったのだから、不可思議不思議な誕生日。妙なやる気の初体験。

苺が転がり落ちそうです。

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サイドは、貧乏画家が絵の具をケチった油絵のようですが、気に入っています。

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友人知人の中には、プロ級のケーキを作る方が何人かいらっしゃるのですが、白状します。
なめてました。
「その気になれば、あたしだって、そこそこのものは」
けっこう思ってました。すみません。

20100320c

こんなランボーなケーキを作るおかあさんがいたらイヤだね。おかあさんじゃなくてよかった。

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・1年前の今日の日記 「破壊者誕生」
・3年前の今日の日記 「桜偵察」
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孤独と絶望を抱えて

わたしの記憶は2歳ぐらいから始まっている。
憶えているのは、「オトナになるといろんなことを忘れてしまうから今をしっかり記憶しておかなくちゃ」と思ったこと。それで、まだ二十代の母親の顔を記憶に焼き付けようとまじまじと見たのを憶えている。

初めての絶望は2歳の頃だった。
失敗続きの毎日、牛乳を飲もうとしてコップに手を伸ばした瞬間、なぜかテーブルにあったコップが横倒れになって、ぽたぽたと白い雫が畳を濡らした。スローモーションみたいなシーンを『困ったなあ』と思いながら眺めていた。オトナだったら自分で片づけられるのに。
で、同じく泣きそうに『困った』顔で母が畳を雑巾で拭いていたっけ。

初めてのバー通いは2歳の頃だった。
その頃わたしは、東京の下町、入谷に住んでいて、アパートの隣にバーがあった。そこは昼間、ドアが開け放しになっていて、中からグレープジュースの甘~い匂いが漂ってくるのだった。蜜の香りに誘われた孤児は、窓が一つもない薄暗いバーの戸口にいた。すると、白いシャツのお兄さんが手招きして、「ジュース飲む?」と訊いたのだ。
遠慮なく「ん」と頷き、オレンジジュースをゴチになる。
味をしめた二歳児のバー通いが始まった。

クッションが固めのソファでいただくオレンジジュース。
白いシャツのお兄さんが洗い物をしていたのをカウンター越しに見ていたのも憶えている。
おっきくて深いシンクが二つ。なみなみ水が溜まったシンクにグラスがプカプカ浮いていた。
ウェルカムなお兄さんがいるカウンターの中に入ると、お兄さんはビールだかジュースの箱を用意してくれた。その箱に乗ると、シンクの高さにちょうどよいのだ。で、水道の蛇口を全開にして、バシャバシャ水遊び。エプロンドレスみたいなワンピースの前がびしゃびしゃになった。
楽しかったけど、『困ったなあ』と思ったところに、眩しく陽が射し込む戸口に人影が。

「おかあさん」

泣きそうに『困った』顔の母親は、お兄さんにぺこぺこ頭を下げていた。
それから、昼間のバーのドアは閉まったままになった。かすかにグレープジュースの甘い匂いが洩れるドアになってしまった。

失敗だらけの日々は続く。
母親が買い物に出て一人留守番をしているときにウンチがしたくなった。そこで、卒業した象さんのオマルを思い出す。流し台の下にしまわれたオマルを「ヨイショ、ヨイショ」とひっぱり出した。
その頃、トイレでするときは、母の手を借りないと便器をまたげなかったのだ。だから、お役ご免になったオマルに固いウンチをした。それはそれは、りっぱなウンチだった。お尻を拭いたかどうかは憶えていないが、わたしは立派にやり遂げたのだ。
ところが、帰ってきた母は、それはそれは泣きそうに『困った』顔でオマルのウンチを片づけていた。『困ったなあ』と思った。

人間の世界で失敗続きのある日、何をしたかは憶えていないが、叱られてアパートの階段の上で白い壁を夕がたの陽が照らすのを眺めていた。絶望していた。これからずっと、うまくいかない毎日が続くのかと思うと、うんざりだった。
自己憐憫と絶望の腹いせに、母親を困らせてやろうと思ったわたしは家出を思いつく。行き先は孤独な嫁の最大の敵、父方のばあちゃんち。
とことこ歩いて、悲しみを最大限に膨らませ、祖母の懐に飛び込んだ。
これが、のちのち母の恨みを買うことになる。

陽が暮れた頃、泣きそうに『困った』母が、ばあちゃんちの戸から顔を覗かせた。

「何しに来たの?」

泣きそうに『困った』顔の母親に、何て怖ろしい子どもだろう。

オトナになっても孤独と絶望はつきまとう。
幸せもいっぱいあるのに、自分はラッキーだと思いつつ、孤独と絶望は抱えたまま。
とくに誕生日が来る前は、ガメラの気分なのだ。
平成ガメラが独りで緑の血を流しながら、海底深くで傷を癒すように。

退行催眠で母のお腹に中に戻ったとき、あったかい羊水に包まれて、このぬくぬくがずっと続けばいいと思った。生まれてみるのが怖かったのだ。
詰まった息を吐き出すように生まれた瞬間、言葉になってない言葉で「どうってことない」と呟いた。

人は、たぶん、生まれてその物語を終えるまで、孤独と絶望を抱えて生きるのではないだろうか。
孤独と絶望は消せない遺伝子。生きる限り、この体の一部にあるのだと思う。それがあるから、この世の自分があるのだとも思う。

誕生日が近づくと、なぜか疼きだす。
誕生前のリフレイン。

過ぎてみれば、きっと、何もかもが「どうってことない」のだろう。

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・1年前の今日の日記 「夜中の訪問者」
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Author: 葉月いお
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