不自然な自然体

「僕はストレスがないタイプでね」
こんなふうにストレスレス自慢をされると、良識ある人なら
「ああ、それはいいですねえ」
くらいのことは言うだろう。
なかには、「ストレスがないのは現状に満足して向上心がないからだ」なんて、どこかで仕入れてきた理屈で、相手の自慢を挫きにかかる人もいるかもしれないが。

わたしは、ある程度の良識は持ち合わせていると思っている。
でも、神経質そうで、年齢より老けて見える人にストレスレス自慢をされると、どう反応してよいものやら。
わざわざ人の自慢を挫きにはかからないけれど、反発している自分を隠すのに精一杯で、「はあ、はははは」と誤魔化し笑いでもしているしかない。

ストレスレス自慢に限らず、いつも元気自慢、いつも明るい自慢、いつも前向き自慢。と、ポジティブな自己アピールの前に、おそらく不自然に見えるつくり笑顔をキープするわたしの子どもさ加減に比べたら、
「ああ、それはいいですねえ」
これを言える人が、どれほどオトナか。

ストレスレス自慢に出た方は、おそらく以前はストレス回避に苦労されていたのだろう。
自分で環境を変えることでストレスが軽減され、現在はいい感じのペースになられた様子。
だからこそ、ストレスレス自慢になるわけで、ストレスに耐えていた頃の自分があったからこその賜物(成果)。そこのところは、わたしも「よかったですね」と思う。
ただ、わざわざ誇示する姿勢に不自然さを感じてしまうのだ。ストレスレスを理想とする意識が過剰なのではないかと。

ストレスがあってもいいじゃないかと、わたしは思う。
わたしなんかは逆に、ストレスがないように思われている節があって、「わたしだってストレスあるよ!」とたまに言ってやりたくなる。
言ってみようとすると、大したストレスではないような気がしてくるので、あえては言わないけれど、ストレスレスの状態がフラットに続くほどお気楽能天気ではない。
わたしの場合は、自分で「ストレスに感じていたのか」と気が付けば、気づき時(どき)が解消時(どき)で、ストレスから抜けてしまうことが多い。
むしろ自覚のないストレスを発見するのは、なかなか面白くて、ある意味“自分発見”。こんなことをストレスにしてたのか、と自分の習性を知っては、調整を図るを繰り返す。
そのうち、知らず知らずの“こんなこと”だった状況が、直面した時点で気がつくようになればしめたもの。用心して、受け止め方を変えるようになる。しかし、そこで「うまくやれた」と安心しちゃいけない。“こんなこと”の事態に気づくってことは、まだ対処が身についていない証拠なのだ。

自転車にスイスイ乗れるようになれば、バランスを取ることなどいちいち意識しない。
少しくらいふらついたとしても、自然にバランスを立て直せるのと同じで、何かを意識しているうちは、いつ転んでもおかしくないのだ。だから、気をつけて用心する必要がある。

そもそも自慢げなポジティブ自己アピールには、そう見られたい意識が働いているもので、自然体にはない不自然な臭いが漂うものだ。
不自然な自然体は、所詮、不自然なのである。

ストレスレスにしろ、元気で明るくて前向きであるにしろ、自然体のままがそうであれば、意識して他人の目を向けさせる必要もないだろうに。
と思うのだが、理想の自分に向かおうとする過程なのだから、「それはいいですねえ」と言ってあげられれば、やはりそれは良識あるオトナの反応なのである。

不自然な自然体の前に、いちいち「えっ?」とか「はぁ」とか、同意できない気持ちを隠すのに必死で、上手に褒めてあげるに至らない自分に、オトナの器でないことを自覚する。

以前、飛び込みの若い営業マンに、
「誠実な男です!」
と名刺に刷ってある人がいた。
ここまでやられると、自然に笑っていられる。というか、恥ずかしげのなさがギャグのようで吹き出してしまった。
でも、できれば、これはやめたほうがいいよ。
自分で自分のことを「誠実」と言うのはインチキ臭いから。
変だよ、それ。


io日和> <魚の庭> <ゼロ✦プラ

🌏1年前の今日の日記 <はじまりは伯爵夫人


    
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雨の日の多数決

遅いお昼を食べ終わって、外はポツリポツリと雨模様。
さて、粛々とした雨の日を仕事日和とするか、いっそ温泉へ行ってしまうか、を決めなければ。
そこで多数決をとってみる。

・温泉に行ってもいいなあ、と思う人
 二票、
 無言で二つ手が挙がる。

・絶対に温泉には行きたくない人
 しーん   〇票

仕方がない。

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天のアレンジ

いただきものは“天のアレンジ”、と思っています。

“天”って何か?

精神世界寄りの言い方だと“宇宙”であったり、宗教を意識的にやってる場合だと、崇める存在の神であったりするのでしょうが、わたしにとっては漠然と“天”。
特定しない神さまみたいなもので、年中無休のサンタクロースが動いてくれてる感覚。
それで、くれる方の好意を嬉しくいただいたうえで、「天にありがとー」なのです。
もちろん、くださる方にも「ありがとー」。

きりぎりしゃん流のいただきものの心得として、
・素直に喜ぶ
・物欲しく生きない
・欲張らない
の3つは、自然にしていること。

そこで、お芋ちゃん「インカのめざめ」を今回どっさりいただいたので、お裾分けいたしました。
欲張って置いておいても、お芋は芽が出ちゃうともったいないし、冷蔵庫に保管しておけば日持ちする食材ですが、そうそう出回っているものではないので、「食べてみたーい」と反応のあった方にはお分けして喜んでいただくほうが、お芋も芋の甲斐があったというものでしょ。
せっかくのいただきもの、とくに食べ物は、
・無駄にしない
それと、いただきもので、
・“わらしべ”効果は期待しない

なのですが、

   

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いただきもので生きてます

きりぎりしゃんの生活が、曲がりなりにも豊かさ気分を味わっていられるのも、いただきものおかげです。
映画、お芝居のチケット。
千葉の梨、横浜の梨、種無し巨砲に、幻の卵、イベリコ豚のウィンナーなどなど、この夏から秋にかけても、生活を潤わせていただいて、天にありがとう。
ゴールデンウィークの頃にいただいたワイン240本も、大事に順調にいただいている日々。ちゃんとお裾分けもしておりまする。

そんな生活でありますが、この季節、期待しないで楽しみにしているのが「インカのめざめ」。
栗よりホクホクしていて食感はしっとり、甘さあっさりのお芋。
先週、いただきました。
このお芋がやってくると、事務所のご飯は「インカのめざめご飯」が定番になる。
で、炊いてみました。

炊き上がったお釜を開けた途端、我慢できなくて、おやつ代わりにお茶碗に軽~く一杯。
美味~い。
ご飯だけでいけてしまう。
なので、もう一杯。
美味~い。
20081016a

これで、7時過ぎに来るお客が退くまで、お腹は持つでしょう。

ioWEB
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奇数の孤独

先日呼ばれた飲み会の場に、区立中学の先生がいらして、ある生徒さんの話になった。
ユニークな生徒さんで、中学三年生にして彼の九九は「シチシチ シジュウハチ」なのだとか。

「惜しい!」
その場にいた二人が声をあげた。
『近い、けど違う』とわたしは自分の中で呟いていた。
そこから自分の世界であれこれ考えていたのだが、九九の世界は面白いことになっていると気づいた。

九九は、奇数x奇数、奇数x偶数、偶数x偶数の3通りの掛け算の世界だ。
その答えは、クク=81通り。
使われる数字は、奇数と偶数の2種類なのに、答えの数は二つに割れない奇数(81)なのだ。
ということは、奇数になる答えと、偶数になる答えのどちらかが数の上で優勢になっているわけだ。
ここで、奇数と偶数の性質の違いを改めて発見した。

奇数x奇数、これは絶対に偶数にはならない。答えは奇数だ。
同じように、偶数x偶数は絶対に奇数にならない。偶数になる。
ところが、奇数x偶数だと、奇数は偶数に潜むようにして、偶数になってしまうのだ。
こうして九九の世界では、81通りの掛け算のうち、56個の偶数と25個の奇数の答えを導き出す。比率にすると、偶数の答えが約69%、奇数の答えが約31%。
どうしたって偶数のほうが幅を利かせている。

と、九九の世界に入り込んだわたしは、ふと「自分は奇数だな」と思った。
本能的に奇数の気持ちなのだ。
「偶数では、ないな」と。

ちょっぴり奇数の孤独を味わってみたのだが、奇数の孤独はそんなに孤独ではない。
そもそも奇数に孤独は付き物で、むしろ孤独愛好者でもあり、孤独がないと世界を失ったも同然になってしまう。仕方のない孤独を認識しつつ、孤独の世界で羽を広げているのだ。
数のうえで勝る偶数たちの答えの前に、支持率の低い奇数の答えは鳴りを潜めたふりをして、孤独の中で生息し続ける。
でも、奇数は、偶数が九九の世界では絶対に奇数になれないのに対して、偶数との掛け合わせで偶数の答えも出せるのだ。
奇数も悪くないではないか。

と結論づけたところへ、奇数のお客さんがやってきた。
今夜は、奇数飲みです。


io日和> <魚の庭> <ゼロ✦プラ

  
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