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    ゴッホと母校と沈丁花

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    昨日はカメラを持って、靖国神社から千鳥が淵、北の丸公園を中心にぐるりウォーキング。

    春を告げているのは桜だけじゃない。
    桜梅桃杏(おうばいとうり)。
    草も花も、若木も老木も、それぞれの風情でその場にあり、葉の虫食いの穴までが、いい具合に調和している。
    作為の無さが、ただただ心地よい。

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    ちょうど東京国立近代美術館で「ゴッホ展」が開催されていたので、ふらり覗きに寄った。
    生まれてはじめて、言葉もなく惹きつけられた絵画がゴッホの作品だった。
    小二のときだ。

    しっかし、ゴッホ展はどこであろうが、いつのときも盛況。
    人の頭越しに牛歩状態で絵を眺めるしかないようだ。

    十数年前に行ったオランダ。
    アムステルダム市内のゴッホ美術館を訪れたときも、平日にかかわらず、ゴッホの惣菜に客が群がっていた。
    デッサンやスケッチ、小さな作品の数々を見るかぎり、ゴッホは至ってまともで、狂気という言葉に結びつかない。
    今回のゴッホ展では、彼のメモ帳が展示されている。
    そこに綴られた几帳面な文字は、神経質というよりエレガントな印象を受ける。

    オランダでもう一つ、ゴッホの作品を数多く保持するクレラー=ミュラー美術館は、知人が車を走らせて連れていってくれた。アムステルダム郊外の国立公園の中にある美術館だ。
    4月下旬。広いチューリップ畑がいくつも連なる景色に、いちいち「うわーッ!」と声をあげながらのドライブだったが、色とりどりの花などない草木の風景に、ゴッホが描く風と色彩を見た。

    美術館に着いたのは閉館時間の30分前。
    「行け!行け!とにかく中へ入れ!」
    同行した友人たちが、何としてでも先に中へ入って「見たいものを見て来い!」と急き立てた。
    チケットをどうしたのか、館内をどう走ったのか、さっぱり覚えていない。
    気がつくと私はひとり、萎えかけてゴロンと横たわる「ひまわり」の絵の前にいた。
    閉館直前に滑り込んだ美術館。あのいっときが、いまだに私がもっともゴッホを堪能した時間だったのではなかろうか。
    昨日のゴッホ展は鑑賞するというより、そんなことを思い出すひとときだった。

    その後、近くまで行ったついでに、母校の中学と高校の校舎を眺める。
    「沈丁匂う学び舎に~」と始まる校歌の学校だけに、通っていた頃は、この季節、沈丁花がむせ返るほどに匂っていたはずだ。なのに昨日は、その匂いがほとんどしなかった。
    校舎の周辺に植えられていた沈丁花が、かなり減ったように思う。
    それでも、久々の母校にノスタルジックな心地よさを味わい、ついでに竹橋で生ビールを味わう春の宵。



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