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アセンション・プリーズ ~オーラを見るセミナー~

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スピリチュアルな時代だし、アセンションが始まっていると言われているし、「オーラが見えるようになる」というセミナーが目に留まり、ついポチッと申し込みボタンを押した。
「すぐに定員になってしまう」という触れ込みに期待して「定員オーバー」に賭けていたのに、あっさり申し込みが受理されてしまい。
最近、スピリチュアルのイベントから遠ざかり気味だったので、たまにはいいかと参加してみることにした。

オーラなるものを初めて観てもらったのは、かれこれ15年ほど前(1995年頃)。
最近は「オーラ」という言葉が一般化してきているけれど、あの頃は、話しても通じなさそうな感じはあったし、特定の人たちとの話題でしかなかった。
私自身、何でも人に話したい、分かち合いたいタイプではないので、誰にでも通じる話題でなくて構わなかった。
それでもあるとき、高校のクラスメイトに、何かの拍子にスピ系のセッションの話をしたら、「そういうのに嵌るのよくないよ」と半分怒り気味に言われて、それ以来、自然に彼女とは会う機会はなくなった。

もともと子どもの頃から霊能系のテレビ番組が好きで、見えない世界にすごく興味をそそられてきた。
で、話はオーラ。
「見えると何なんだ?」と言われても、単に見えるなら見てみたい。
それだけ。
眺めていると3Dに見えてくる絵。あれは焦点の合わせ方のコツで立体的に見えるのを大抵の人は知っているから何気に試すでしょ。それと同じ感覚。
ところが、3Dの絵を見るのが私は苦手ときている。なかなか焦点の合わせ方をシフトできない。なので、オーラも見えるようにならない自信は80%。これほど自分に期待できないことを試してみようとするのは、私にしては珍しいことなのであった。

都内某所の講座に集まったのは十数名。
先生がおっしゃるには、「講座に参加した皆がソウルメイト」なのだそうだ。
「ソウルメイト」という言葉もずいぶん浸透したものだ。

おそらく二度と会うことはないと思うソウルメイトさんたちと肩を並べ、「オーラとは何ぞや」のレクチャーを受け、スライドの写真を見て直感的に色を言うワークなどして約2時間。その後、隣の人とペアになって互いのオーラを見るワークに入った。

ペアを組んだ女性をパッと見る。
近所のネパールカレー屋さんにいる人たちくらい、肌が浅黒いのが印象的。
で、思わず「茶色!」と言ってしまいそうだった。
その意識から、オーラの色を見ようと頑張った末、「パープル」と言ってみる。
「へ?」
「それ、Tシャツの色ですね。やり直します。」

気持ちを入れ替え、あらためて見直す。
けど、やっぱり肌の浅黒さに目がいってるのか「茶色!」と言いたい衝動に駆られる。
自分のオーラが茶色なんて間違っても言われたくないだろう。
で、「オレンジ!」と言ってみる。
すると、また彼女が「へ?」と反応する。

見えてるのか見えてないのか自分でもよく分からないうえに、はっきり言って見えちゃいないのに、「へっ?」と疑われても埒が明かない。なので、とりあえず「オレンジ」ということにして終わらせてもらった。

さて、彼女が私のオーラの色を見る番。
私をじ~っと見て、「ごめんなさい、分からない」ときた。
正直でいいと思った。
分からない者同士が組んでいるのだからと諦めかけたら、首をかしげながら「グリーン」と言う彼女。
その日に着ていたブラウスのレモンイエローにグリーンが入ってなくもないので、その色が映ったのだと思う。

セミナーの終わりに、先生がおっしゃる。
「まさか皆さん、セミナーに参加したら、すぐにオーラが見えるようになるなんて思ってないですよね?」

 え? 
 そうなの?
 見えるんじゃないの?

見える自信はなくとも、期待はしてたりして。

そんなことがあってから、散歩に出るとベンチに座って、木や植物、たまに仰向けに転がっている蝉を焦点をずらして眺めてみたりするようになった。

で、最近、異変が。

鳩と雀が、やたら至近距離にやってくる。
サンダル履きの足元のすぐそばまで近づいてくる。
他に人がやって来ると途端に散っていくのだが、中には、えっちらおっちら短い足で歩いてきて、目の前で立ち止まったまま動かない鳩もいる。
「鳩さん」と呼びかけてみる。
「どうかしましたか?」とも訊いてみる。
今のところ何も返事はない。
何か、オーラとは違う路線の能力を開発している予感、がしなくもないこの頃。


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~ 二歳の記憶 ~ ちゃんと憶えていないと忘れてしまう。

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 夢だ! 夢だ!

 さめろ! さめろ! さめろ!

 これは夢だ 夢だ

『千と千尋・・・』の台詞がぴったりくるほど、ショート・トリップから飛ぶように過ぎた7月。

 戻れ、戻れ、戻れ!

時間の進み具合が加速したのか、追いついていけない感覚がときおり襲ってきて、もっと丁寧に日々を過ごさないと何も残らず終わっていきそうな気がした。実際、そうだし。

私の記憶は2歳を過ぎたあたりから始まっている。
当時は、鮮明に、日常のいろいろを見ていて、憶えていく感覚があった。
その感覚は覚えているのだが、出来事の記憶はかなり斑になっている。
その中で、しっかり思ったことがある。
自分に言い聞かせるように、思った。

 ちゃんと憶えていないと忘れてしまう。

話す言葉は達者でなくとも、はっきり自分でそう思った。
それを思ったのは、(たぶん)初めてのおつかいのとき。
角のパン屋さんで食パンを買ってくるように母に言われて。

若い母は玄関の上がりくちに座っていた。
「はい、行っておいで。
 ここで待ってるから。」
そんな感じの母をじっと見つめて、私の中のカメラはシャッターを切った。
記憶に焼き付けようとしたのは憶えているのに、そのときの母の姿は、かなり薄らいでいる。

 ちゃんと憶えていないと忘れてしまう。

その言葉の意思が働いてか、一つひとつの出来事を記憶しようとしていた。
斑なりに、静止画だったり、短い動画だったりの場面や、思ったこと感じたことの記憶を持っている。

二歳の頃に思った言葉をオトナになって解釈すると、付け足しの言葉が必要になってくる。
憶えているには、

 もっと丁寧に……。

と、言葉が浮かんだ8月も飛ぶように過ぎた。

神宮の花火を観に行ったり温泉に行ったり、サングリアで盛り上がったり、楽しいことはいつものようにあった。
いつのまにか靖国の小さな森に響く蝉時雨は秋の虫の合唱に変わっている。

 もっと丁寧に生きないと……

先週から何度かとてつもなく静かな“とき”がやってくるようになった。
そうなってみると、自分の中がわさわさしていたのがよく分かる。
じつは“静かなとき”になるのを待っていたことも。

 丁寧に生きないと、ただ過ぎてしまう。

8月から9月の境界線を越えて。




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